『清明上河図』はこれまで多数の版本が伝えられており、故宮でも八点を収蔵している。中でも『清 院本清明上河図』(故画1100)が最も有名である。本巻は清代の宮廷画家である陳枚、孫祜、金昆、戴洪、および程志道ら五人によって完成された。この作品はドキュメンタリーとして制作されたほか、絵はがき、ジグソーパズル、書籍、児童書およびDVD、更には原寸大の複製品も作られ、故宮博物院ではデジタル・インタラクティブ式マルチメディアガイドを制作し、オリエンテーションギャラリーで放映している。
本作は絹本、著色画で、縦35.6cm、横1152.8cm。前隔水には梁詩正(1697-1763)による乾隆御題詩「蜀錦裝全璧,呉工聚碎金。謳歌萬井富,城闕九重深。盛事誠觀止,遺踪借探尋。當時誇豫大,此日歎徽欽。乾隆壬戌(1742)春三月御題。臣梁詩臣敬書。」があり、「梁」と「詩正」の二印が押されている。清内府の収蔵印は「乾隆御覽之寶」、「乾隆鑒賞」、「石渠寶笈」、「三希堂精鑒璽」、「宜子孫」、「養心殿鑑蔵宝」の六印。また、乾隆帝による「絵苑璚瑤」の四文字の御題がある。作品後部には「乾隆元年(1736)十二月十五日奉勅,臣陳枚、孫祜、金昆、戴洪、程志道恭畫。」の款識が二行にわたって書かれ、「臣枚」と「臣孫祜」の二つの印がある。
作品は大きく五つのシーンに分けられる。始めはのどかな田舎の風景が広がり、放牧する牧童、岸辺で凧揚げをしている子ども、琴を抱えて橋を渡る文士などが描かれ、ゆったりとした時間が流れている。その先には花嫁を迎えに行く長い行列があり、大勢の人が足を留めて眺めている。廟の前の広場に設けられた芝居の舞台では、三国志演義「貂蝉 美人の計」が上演され、舞台の前にたくさんの観客がつめかけている。二つ目のシーンは虹橋を中心に、道に沿って市へ出掛ける人々、河道を往来する船、虹橋の両側に整然と並んだ商店街などが描かれている。人の波でごった返した市が、このシーンのクライマックスとなっている。三つ目のシーンでは、城門の内外を人々が賑やかに往来している。城門はアーチ型で、上部には精巧な楼閣が建っている。城内の建物は整然と並んでおり、銀行や飯屋、染物屋、飴屋、肉屋、呉服屋など、衣食住と娯楽に関するあらゆる店がそろっている。このほか、状元(進士の首席及第者)の邸宅、大邸宅の庭園なども描かれ、庭園の築山や湖水がとても美しい。大通りには、散策する者、友人を訪ねる者、引っ越しをする者、水撒きをする者、石を運搬する者、けんかをする者、売り買いする者、物乞いをする者、托鉢する者、拳術を披露する者など、さまざまな人物が描写されている。
四つ目のシーンに描かれているのは、「松竹軒」を過ぎて大木橋に向かう両岸の情景である。中でも学堂や風呂屋、そして水汲み、洗濯、漁、アヒルの飼育などに勤しむ河道両岸の庶民の生活が最も目を引く。金明池の前の牌楼にやって来ると、牌楼の下で二人が拳術を披露しており、その周りには人だかりができている。五つ目のシーンは、金明池内部の美しい風景が描かれている。水面にはうっすらと霞がかかり、曲がりくねった小径はひっそりとしており、岸辺には桃の花が咲き乱れている。中庭の内外では宮女が憩いを取ったり、戯れたりしている。壮麗な殿宇、そそり立つ高台、岩山に突き出した雄々しい松の木など、実に見事な描写である。
本巻の建築はいずれも遠近法に基づいて作画されており、建物や通りなども一つ一つ数えられるほど鮮明に描かれ、大小の比率や遠近感も精確にとらえている。中には西洋建築も見られ、全体をとおして精確且つ慎重な用筆で描かれ、色遣いは華やかであり、精巧且つ写実的である。