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展示概要

「雅集」とは、古代の文人たちが集った宴席の一つです。雅集が催される理由は各種各様で、規模も大小様々でした。雅集を行う際、主人と客人は趣向を凝らした美味を味わいつつ、詩を詠ずることもあれば、鼓や琴を奏でたり、将棋を指したり、絵画を眺めたり、品茶をしたりと、宴に興を添える娯楽も数々あり、即興での揮毫や題詠などの副産物が生まれたのは言うまでもありません。こうした宴席に集った文人たちが互いに刺激を受け、競い合ったことから、雅集は文化力を育んだ揺りかごだったとも言えるでしょう。天下一の行書と讃えられる「蘭亭序」は、東晋癸酉年(353)の暮春3月に盛大に催された雅集で生まれました。その時の宴には老いも若きも揃って集い、「流觴曲水」という杯を流して詩を詠む遊戯が行われ、王羲之(303-361)がその詩集の序文を書きました。この雅集は時代を超えて伝えられ、後世の文人らが追随する雅集の典範となったのです。

いわゆる「雅集図」とは、雅集の状況を開催後に絵図として記録したものですが、前人が催した盛会の様子を想像して描かれた作品もあります。雅集の場景や出席者、様々な遊戯や娯楽などのほか、その場に陳列された品々や酒席で用いられた食器類まで、画家の巧みな描写によって具象化され、新しい表現要素まで取り入れられています。各時代に描かれた雅集図は創造や変化が絶えず繰り返されて、新たな生命が吹き込まれました。宴席で行われた文化の競演は文人たちにプレッシャーを与えましたが、こうした悩みもまた独特かつ優雅なスタイルでオブラートに包んで表現され、雅集に面白味を添えてくれたのです。

この度の特別展は、「晋唐の風雅」、「雅集の典範」、「想像の中の雅集」、「動乱の時代の唱和」、「生誕祭の名の下に」、「朝廷主催の宴」─六つのコーナーに分けて展示を行い、歴史上名高い雅集の盛事をご紹介します。また、各コーナーで展示される趣深い小品を通して、文人らが雅集で直面した、即興で創作せねばならないプレッシャーや、インスピレーションの発露などをご覧いただきます。

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