展示概要
この世には男性と女性が半分ずつ存在します。文化の発展とその歴史的過程において、女性の地位と貢献には軽視できないものがあります。故宮では、女性を対象とした作品や、女性が創作した作品を多数収蔵しており、その芸術的価値も極めて高いと言えます。しかし、実際のところ、中国の数千年に及ぶ古代社会は基本的に男性主導型の社会的仕組みが構築されていました。そのため、「男尊女卑」や「男は外、女は内」、「か弱い女性は美しい」、「女性の無才は美徳である」などの言い方が、中国の女性たちに大きな影響を与えたのは間違いなく、多くの人々がこのような固定観念を抱くようになったのです。そして、極めて多くの女性たちがその生涯を通して、存分に才能を発揮する場を得られずに終わりました。こうした女性たちの境遇や心の声は、一部の優れた芸術作品を通してのみ、運よく同情や関心を持ってもらえたのです。
この度の特別展では、主題と年代に合わせて本院所蔵の名品71点を展示し、「群芳競秀」と「女史流芳」─二つのコーナーに分けてご覧いただきます。「群芳競秀」では、五代から近現代までの絵画を大局的観点から順を追ってご紹介し、歴代の女性たちが果たした多元的な役割や作品の風格などを浮彫りにします。「女史流芳」では、女性芸術家の作品をご覧いただきます。歴史に名を残した女流作家であっても、男性に比べると、作品数には大きな差がありますが、清麗な筆墨に独自の風格が漂う良作も少なくありません。本コーナーで展示する作品には、様々な職場で活躍した女性たちが発揮した才芸が見て取れます。
女性の力が生かされるようになった21世紀という新しい時代に、本特別展「彼女─女性のイメージと才芸」で書画や緙繡の芸術美を展示すると同時に、古いものを捨て去り新しいものが生み出されるよう、エールを送りたいと思います。また、女性に関する課題に対して、時代的意義を併せ持つ斬新な観点が得られるよう願っています。