展示概要
古くから天子(皇帝)の贈り物は臣民にとって一種の賞賜とみなされていました。この賞賜としての贈り物の背後には社会学や歴史学などに関わる複雑な要因があり、誰もが解き明かしたいと思う謎でもあります。
贈り物の背後には言葉通りではなく、より複雑な意味があることも多く、その品物にまつわる物語の方が魅力的な場合もあります。贈答品のやり取りは人間社会に存在する普遍的な思いです。「礼」とは、礼儀正しく謙虚な態度だと解釈でき、品物によって礼を表すこともできます。時には、人と人、国と国の間で関係を築くための一種の手段や目的になることもあります。
本展では、清代の官員が上奏した奏摺や文書、檔冊などの資料を通して、皇帝は臣下にどのような贈り物を与えていたのか、その贈り物は人が羨むほどの品物だったのか、それともその背後には何か目に見えない責任が隠されていたのかなど、奏摺に残された硃批(朱筆で書かれた皇帝の意見)を見ながら、私たちの心の中にある答えを探してみましょう。